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スタッフブログ

2011.05.13
『はい、捕まえたぞ』
 
新年度に入り1カ月が経ちました。
体操教室に通ってくれている子どもたちは1つ学年が上がり、成長した姿を感じることができます。カリキュラムもさらにバージョンアップを目指し、これからの1年がまた楽しみな今日この頃の私です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

先日、留学先から戻った教え子に会った際、「現地は楽しかったが一緒に行った日本人とのやり取りにとても苦労した」という話を聞きました。
春、というわけではないですが、やはりどこに行っても人間関係はつきものです。
職場、家族、ご近所、友達・・自分の身の回りには色々な人がいて成り立っています。
そこで、今回は交流分析のひとつである「はい、捕まえたぞ」という『ゲーム』について書いてみようと思います。

私も以前、職場や友達との人間関係について「なぜこの人はこうなんだろう・・」「どこをどう改善すれば上手くいくんだろう」と悩んでいた時期がありました。当時は解決できないまま時が過ぎてしまいましたが、後味の悪さだけが今も残っています。
しかし、この『ゲーム』を知り、「なんだ、あの時はこのパターンにハマっていただけなのかな」と謎が解けて悩んでいた気持ちが少し楽になりました。


交流分析の創始者であるエリック・バーンは、こじれた人間関係やパターン化されたトラブルを引き起こす自滅的なコミュニケーションを『ゲーム』と定義しました。その『ゲーム』のひとつに「はい、捕まえたぞ」があります。

「はい、捕まえたぞ」とは、相手のミスを見つけた時に、ここぞとばかりに相手を責めたり、相手に責任を取らせて自分が利益を取ることをいいます。これは計画的なゲームで、このゲームを仕掛ける人は常にチャンスを狙っているといいます。
 自分よりも立場の弱い人に向かって仕掛けることが多く、「自分の方が偉いのだ」と自分の権力を誇り示すことが目的なので、どれだけ「次は失敗しないように頑張ろう」、「次は怒られないように頑張ろう」と思っても「指摘されたところを直そう」と思っても、相手はただ自分の力をみせつけるためにゲームを引き起こしていることが多いので無駄なことです。

交流分析でいう『ゲーム』は、楽しいものではなく、むしろ人に不愉快な気持ちを与え、人間関係においてトラブルやストレスの原因となるものを指しています。
『ゲーム』は無意識のうちに行われ、繰り返されます。そして結末はお互いに後味が悪く、不愉快な感情だけが残ります。

でもなぜ「はい、捕まえたぞ」という『ゲーム』は行われるのでしょうか。
人は孤独になると何もしないよりは、何らかの刺激が欲しいといいます。


仕掛ける人は、言い争いをすることで「こんなに大変だった。こんなに苦労した。あなたの為にやってあげた」といったような有意義な時間を過ごしているような錯覚を得ようとしています。また、「OKではない」という基本的な態度を維持し、相手を否定することで、自分が正しいのだ、強いのだということを示しています。
本来は肯定的な関わりが欲しいのに、否定的な関わりを得ることで満足したいと思ってしまうようです。また、常に不満な感情で生活してきた人は、その不満な感情でいることの方が、満足した感情でいるよりも安心してしまうといいます。

仕掛けられる人のタイプとしては、相手に対してペコペコ頭を下げることが多かったり、萎縮していつもビクビクして見える人。こういった人は「もっといじめてやろう」という気持ちを引き出す要因を持たれてしまいます。また、自分より強い人にはヘコヘコし、自分より弱い人にはきつくあたるタイプの人。
プライドが高く、ものの言い回しがどことなく生意気で、ちょっとした人の言葉の上げ足をとる癖がある、といった人もターゲットになりやすい人のようです。


この『ゲーム』から抜け出すためには、まず自分と相手の間にゲームが存在していることに気付く必要があります。大事なのは、こういったゲームから自分の身を守り、正しく抜け出す方法を身につけることです。そして相手とゲームについて話し合う。最悪の事態の時には逃げ出す・・などといった対処をする必要があります。

 私は、両親が教師であった影響からか、小さい頃から目上の人の言うことは聞かなければならない、先生の言うことは聞かなければならないと教えられ、ある年齢まではそういうものだと思ってきました。そんな自分の考え、行動が「はい、捕まえたぞ」のゲームに捕まってしまっていたのかもしれません。
また、逆にある時には捕まえていたのかもしれない・・と、この『ゲーム』を知ることで考えることができました。そして、今は家族との間や、仲間との間でも、ふとした瞬間に「あれ、今もしかしてゲームを仕掛けてる??」と考えることができるようになりました。


交流分析には他にも様々な『ゲーム』があります。
そして職場や家庭の中で、私たちは無意識に様々な心理ゲームを行っています。
相手によって仕掛ける側になったり、仕掛けられる側になったり、自分の立場も色々です。
様々なコミュニケーションのパターンを知り、客観的に見る力を養うことが人間関係を円滑にし、自分の目的に向かって活動できるひとつかもしれませんね。

瀬尾真美