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スタッフブログ

2017.11.18
『PEPTALKペップトーク』
こんにちは、中村周平です。11月に入り寒さも感じるようになりましたね、今年もあと2ヶ月で2018年を迎えます。月日が経つのははやく、時間を上手く使わないとあっという間に1日が過ぎてしまいますね!事前準備をしっかりして無駄のない1日を過ごしたいと思います!

さて今回のスタッフブログはたった1分で相手をやる気にさせる話術「PEPTALKペップトーク」著者、浦上大輔氏の本を読みました。ペップトークとはアメリカで誕生した人を「励ます技術」を「ペップトーク」と呼ばれているそうです。やはり指導しているとどんな言葉をかけると相手にスイッチが入るかを考えますが、そう上手く相手に響くわけじゃありません、でも上手な人は相手を理解し、言葉を選び行動に繋げます。

それでは、ここから本の内容で僕自身が特に良かったと思う部分を抜粋し紹介したいと思います。



まず、ペップトークの内容が分かりやすいように本文に載ってある例題から紹介したいと思います。
アメリカンフットボールで社会人と学生日本一のチームが戦い、真の日本一を決める「ライスボール」という試合があります。2009年、学生日本一である立命館大学(立命館パンサーズ)を率いるのは古橋由一郎監督。強敵である社会人日本一の松下電工(パナソニック電工インパルス)との試合を前に、緊張し、高ぶる気持ちを抑えきれない選手たちに対して、こんなペップトークをしました。

「男にはな、人生をかけて戦わなあかん時がある。相手がどんなに強い、相手の方が絶対有利だと言われててもな、立ち向かって行かないかん時がある。松下電工が強い、有利だというのは、マスコミが言っているだけやろう。フットボールの内容、チームワーク、どれをとっても我々の方が上や!それぐらいの力はお前ら1人ひとりが持っとる。お前らならできる。お前らならできるんや!やろう!このチームで最後の最後まで頑張って、力を出し尽くして今日は勝つ!さあ、勝つぞ!1・2・3・GO!」

このたった45秒のペップトークを聴いた選手たちは心を震わせ涙を流し、プレー開始直後からビックプレーを連発していったのです。実は、古橋由一郎監督が選手たちにかけた言葉こそペップトークの要素を見事なまでに再現しています。ペップトークとは、人の感情の変化をとらえリソースフルな状態に導いていくための論理的な構成によって組み立てられています。(リソースフルとは・・・実力を出し切れるポジティブな心の状態、自信がある、うれしい、楽しい、ワクワクするなど)話しは4つのステップによって成り立っていて、それぞれのステップごとに伝える言葉を考え、最終的にこの4つを並べて話すことによってペップトークが完成します。つまりペップトークは、4つの話しをつくり、それを順番に話していくというシンプルなものです。ペップトークの4つのステップは次のものです。

【ペップトークの4つのステップ】
1、受容(事実の受け入れ)
2、承認(とらえかた変換)
3、行動(してほしい変換)
4、激励(背中のひと押し)

これを先ほどの古橋監督の言葉をステップごとに分けると、こうなります。
★「男にはな、人生をかけて戦わなあかん時がある。相手がどんなに強い、相手の方が絶対有利だと言われててもな、立ち向かって行かないかん時がある。➡1、受容(真実の受け入れ)
★松下電工が強い、有利だというのは、マスコミが言っているだけやろう。フットボールの内容、チームワーク、どれをとっても我々の方が上や!それぐらいの力はお前ら1人ひとりが持っとる。お前らならできる。お前らならできるんや!➡2、承認(とらえから変換)
★やろう!このチームで最後の最後まで頑張って、力を出し尽くして今日は勝つ!➡3、行動(してほしい変換)
★さあ、勝つぞ!1・2・3・GO!➡4、激励(背中のひと押し)

このように4つのステップ順番の順に会話を構成し話していくことがペップトークのポイントです。次に、なぜこのポイントが必要なのかと、自分が感じたポイントを順番に書いていきたいと思います。
■受容(事実の受け入れ)
受容の目的は、相手の感情や、置かれている状況をそのまま受け入れ、共感することで相手のドアを開くことです。
①相手の感情を受け入れる(感情受容)
②相手の状況を受け入れる(状況受容)
ここでのポイントは・・・
相手と自分の思考は違うということです。相手に押し付けるように自分の考えや経験を話しても、伝わらず、逆に何も理解してくれていないと不快感を与えるかもしれません。相手の立場に立ち、相手の置かれた状況や心理状態に立った上で、相手に響く言葉を選ぶということが大事だと思いました。
■承認(とらえかた変換)
受容で受け入れてマッチングした感情や状況を、ポジティブにとらえ直していきます。
承認とは、受容で「できていないこと」「ダメなところ」「不利な状況」「マイナスの部分があること」を受け入れたうえで「とはいえここはできているよね」「ここはいいところ」「プラスの部分もあるよね」とフォーカスを変えていくことです。承認(とらえかた変換)はアンリソースフル(実力を出しきれないネガティブな心の状態。自信がない、不安、緊張、恐怖など)だった心の状態を一気にリソースフルに変えるだけのパワフルさを持ったステップです。人はものごとのとらえかたが変わると一気に力の発揮の仕方が変わります。
ここでのポイントは・・
「だからこそ」や「とはいえ」という言葉です。
例えば「だからこそ」の場合・・・緊張している⇒それは本気で取り組んでいる;だからこそ---緊張する。や問題が起こった⇒だからこそ---問題をクリアしたら成長できる。など物事の表と裏を考える方法です。
もう1つ「とはいえ」の場合・・・練習不足で試合が不安⇒とはいえ、経験や集中力、チームワークはどこのチームよりも優れているなど。状況を認め不利な場面でも、持っている力のみに焦点を当て、プラスの思考に変換していく方法です。こうして、「だからこそ」や「とはいえ」を使って“とらえかた”を変換し、マイナスの思考からプラスの思考に変換することがポイントになります。
■行動(してほしい変換)
行動では承認でマッチングした感情や状況を一気に変換し、感情はリソースフルに、状況をポジティブにとらえられるように、リーディングしてきました。そしていよいよ本番の真っ最中(もしくは問題解決として)に、まさにしてほしい行動(アクション)を伝えます。アクションを伝える方法は2つあります。
①ネガポジ変換・・・ポジティブな表現で「してほしいことを伝える」。私たちは、相手に指示やお願いをする時に無意識で「してほしくないこと」+「否定形」で伝えています。たとえば、代表的な言葉として「ミスするな」というものです。実際、「ミスするな」と言われて成功をイメージするは難しいのです。脳は言葉という刺激が入ると、過去の経験からその言葉にマッチしたイメージを検索します。状況によってさまざまですが、「ミスするな」と言いたい時、本当にしてほしいことは「思いきりやる」ことかもしれません。「あきらめるな」と言いたい時、本当にしてほしいことは「最後までやり抜く」ことかもしれません。このように、言葉そのものをポジティブに変換すると、「思いきっていこう」という言葉は「思い切ってやる姿」を画像検索しますし「最後までやり抜こう」は「最後までやり抜いている姿」を脳の中で勝手にイメージするのです。
②アクション変換・・・「してほしい行動を伝える」行動の指示なのか、結果の指示なのかも考える必要があるということです。結果の指示とは、たとえばこのような言葉です。「試合に絶対勝ってきて!」「試験に合格してきて!」「お客様から契約取ってきて!」これらの結果の指示の場合、相手がプレッシャーを感じ、逆に不安、心配、緊張してアンリソースフルな心の状態になることがあります。持っている力を発揮できなくさせることは、自分自身もやりたいことではないはずです。相手が自分らしくのびのびとリソースフルな心の状態で、持っている力を発揮してほしいですよね。それが行動の指示なのです。結果の指示ではなく、行動の指示を言葉で伝えるということがアクション変換でしたが、結果の指示は、実は行動の指示と一緒に使うと効果を発揮することがあります。この言葉の中には、選手たちにしてほしいこととして行動と結果の指示の両方が入っています。「最後の最後まで頑張ろう」(行動の指示)「力を出し尽くそう」(行動の指示)「今日は勝とう」(結果の指示)この場合、行動の指示(2つ)をしっかりしたうえで、最後に勝つという結果の指示をしています。この言葉によって、選手たちのイメージは「最後まで頑張っているシーン」「力を出し尽くしているシーン」「そして勝って喜んでいるシーン」が浮かんでいます。このように勝つという結果を得るための行動もしっかり掲示し、そのうえで結果の指示をしている場合には、選手が余計なプレッシャーを感じてアンリソースフルな心の状態になることはないのです。
ここでのポイントは・・・
言葉によって過去のイメージを検索するということです、僕も学生時代、演技をスタートする前、頭の中で絶対“成功する”と何度も言い聞かせた時期がありましたが、逆に“結果”をイメージし身体が固くなったことが原因でミスをしていたのかもしれません。ミスが少なくなった時は、演技前に完璧な“イメトレ”をしてから落ち着いて演技していたのを覚えています。まずは行動を選択し言葉を選び良いイメージを持つ準備をすることが大事だと思いました。
■激励(背中のひと押し)
受容(事実の受け入れ)では、感情や状況を受け入れマッチングしました。承認(とらえかた変換)では、一気に感情をリソースフルに、状況をポジティブにとらえられるようにリーディングしていきました。行動(してほしい変換)では、本番真っ最中にしてほしいアクションを伝えました。そして最後にもう1度、奮い立たせ、心に火をつける言葉、最後に背中をポンと押して送り出す言葉を投げかけます。それが激励(背中のひと押し)です。激励(背中のひと押し)も2つのパターンがあります。
①激励系・・・もしあなたが相手に対して気合を入れてあげたい、迷いを吹っきってほしい、全力でぶつかってほしいなどと感じ、相手もそれを望んでいる状況であれば、迷わず背中を押すイメージで出てきた言葉で送り出してください。激励系の言葉には次のようなものがあります。「さあ、行ってこい!」「思いっきり暴れてこい!」「大丈夫、君ならできる!」
「笑顔でいこう!」
②見守り系・・・そっと寄り添うことで相手に安心感を与える言葉です。「何があっても助けに行くから!」「みんなで応援しているから!」「ゴールで待ってるよ!」見守り系は、相手があなたの仲間の存在を感じ、勇気が湧くような言葉で送り出してください。また、この2つに限らず、相手と共通の言語(ミッションやスローガンなど)や共通の動作(ハイタッチやグーのポーズなど)で送り出すと安心感とやる気を与えることができます。
ここでのポイントは・・・
使い分けが必要だということです。チームや組織に向けて伝えるときは激励系のタイプが良いと思いますが、個人個人に伝える場合は特にどちらを使うか、その人の性格や状況、本質をしっかり見極めて相手に伝えることが大事だと思いました。

ここまでが、ペップトークの4つのステップとそのステップの中でポイントだと感じたことをまとめて書きました。少し例題もあり長くなりましたが、この本を読んで自分の今までの経験を振り返って考えると、自分の経験と本の内容が一致する部分があり、良い意味で気づきを得ることが出来ました。この他にもお伝えしたい内容がたくさんありましたが本を通して感じたことは、変わるのは相手ではなく“自分”であり無知じゃなく“知る”ということです。一方的に押し付けたり、脅したり、ガミガミ言ったりすることは“人間関係”を悪くし、相手自身の“人間性”も否定する可能性に繋がりかねません。“言葉”を調べると“感情”や“思想”が音声また文字によって表現されたものと書いてありました。コントロール出来るのは自分の“思考と行動”です。自分の思考と行動をコントロールしながら、相手の状況や考えを1度受け止めた上で、1つの表現として“言葉”を使い、関わる人とともに良くなっていきたいと思いました!

中村 周平