『勝つ理由。<3人の金メダリストを育てた名将がひもとく勝利のプロセス>』
こんにちは、小川です。2024年のスポーツ界も数々の名場面が生まれましたね。
大谷翔平選手の50/50、ワールドシリーズ制覇、パリオリンピック陸上槍投げの北口榛花選手、柔道の阿部一二三選手。そしてなんといってもパリオリンピック体操の男子団体金メダルが最高に盛り上がりました。
選手たちの最後まで諦めない気持ちが奇跡の大逆転につながったのだと思います。特に膝の大怪我から復帰してオリンピック代表になった岡慎之助選手の団体、個人総合、鉄棒の3冠にはとても感動しました。選手生命を脅かすほどの大怪我から復帰する過程ではきつく苦しい時期もあったと思います。逆境に耐え自分を信じて努力を続ける姿は多くのアスリートに感動と希望を届けてくれました。岡選手の今後の活躍も楽しみです。
今回私は平井伯昌さんの「勝つ理由」という本を読ませていただきました。
平井伯昌さんといえば、北島康介さん、萩野公介さん、大橋悠依さんと3名のオリンピック金メダリストを育てた水泳コーチです。本の中では指導の場で選手たちと関わりながら交わした言葉や勝負について、また指導者としての心構えなどが書かれています。本の中で共感できる文章を抜粋して紹介したいと思います。
■選手の才能について
「勝負を最終的に決めるのは脳」
身体的才能(骨格や筋肉の質などに関して先天的に持っているもの。動作や体の使い方については考えながら練習を繰り返すことで感覚をつかめる)と精神的才能(自分との戦いに勝てる意志の強さ。自分に嘘をついたり自分をごまかしたりしない性格。芯の強さ)があり、体のコントロール、精神のコントロール、思い切ったチャレンジができる脳の強さが求められる。
■伸びる選手と伸び悩む選手の差
「大切なのは、人からどう思われるかではなく、自分がどうなりたいか」
志がない選手はいくら才能があってもどこかで必ず頭打ちになります。才能があってなおかつ志のある選手がより高い目標へと向かっていくことができるのです。自分と向き合って成長していける選手ほど引退後に社会で活躍できるケースが多いと感じます。自分はこうありたいという強い意志がある選手は困難に屈することなく自ら伸びていけます。極限まで自分と向き合える人間だけがそうやって成長し、世界のトップレベルまでたどり着くことができるのです。それが伸びる選手と伸び悩む選手の差なのだと思います。
■思考のスキルが成長度を決める
「意識の違いで成果が変わる」
仕事(目標を達成するために自分がどんなパフォーマンスをしたいかを意識して練習する。何ができて何ができなかったのかを自覚し、次のイメージを持った上で次回に臨む)と作業(ただ単に漠然と練習する。課題への対策や意識がない。明確なテーマを持っていないので勝ったとしても理由がわからず再現性に欠けるため、次につながらない)。競技に本格的に取り組むにあたっては、まずはその取り組みに対して一生懸命に励む癖をつけるための訓練が必要な時期があります。そしてどこかのタイミングで次の段階へとステップアップしていかなければなりません。言われたことをとにかくがむしゃらにこなすところから、自ら考えて判断し、自分自身で成長していけるようになることが重要なのです。
→スポーツ選手に求められる資質として、持っている才能だけでなく何を目指すか、どうなりたいかを意識する(考える)力がとても必要なのだと感じました。ただ漠然と練習を続けていくのではなく、明確なテーマを持ち、将来のビジョンまで視野に入れて練習をすることで選手自身の成長につながっていくと感じます。
■アスリートに求められるメンタル
先天的なもの(目的遂行能力がもともと高い)と後天的なもの(成功体験を重ねることによって自信をつけ、さらにはやり抜く強さを身につけていく)。強いメンタルを持つには、少し努力すれば達成できる目標を細かく設定しながら、小さな成功体験を積み重ねていく。目標を達成するたびに目的意識を持って取り組むことで目標に到達できるという小さな自信を得られる。
■指導者に求められる資質(指導者に必要な3つの資質)
「眼力」選手の強みと課題を見抜く
「エネルギー」選手がより高い目標を目指せるように指導者自身が大きな志を持ち、大いに学んで行動する
「没頭」これと決めたことに対し、とことん没頭できる
私がまず大切だと考えるのは、選手の才能を見極める眼です。自分が指導する選手の長所と短所がどういうもので
あるかをしっかりと把握できればその選手をどう導いていくかの道筋が明確になります。もう一つ大事だと思うのはエネルギーです。ここでいうエネルギーとは目標を達成するための意欲のことを指します。
■選手をやる気にさせるには
人は小さな成功を経験することで物事を前向きに考えられるようになります。小さなチャレンジをクリアすることで次はこのテクニックができるようにがんばろうといった意欲が湧いてきます。小さな成功を少しずつ積み重ねていくことが最終的に大きな成功につながるのです。選手のモチベーションを高める上で最も大切なのはこれをやれば前に進めると選手が思えるものを指導者がきちんと提示してあげることです。
→指導者として選手に関わる以上、指導者自身が常に新しい知識を学び続けていかなければいけないと思っています。選手たちの特徴、能力を見極め、選手それぞれに合わせた柔軟な対応ができるようになる必要があり、選手たちが日々にやりがい、達成感を感じられるような指導を意識すること。それ以上にそこに熱意を持って没頭すること。いつまでも若さとパワーを感じる指導者でありたいと思いました。
数多くのトップアスリートを指導されている平井コーチの言葉からは、水泳に対する熱い想いや目の前にいる選手に対する想いが伝わってきました。『共に』世界一を目指す意志の強さがこのような結果につながっているのだと思いました。
また、各競技に留まらずにスポーツ界全体を見据えて新しいことにチャレンジし続けること。共通する分野で視野を広げていくことも重要だと感じました。私も現状に満足せず、常に新しいことにチャレンジをしていきたいと思います。