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スタッフブログ

2014.09.08
『指導者(親)の役割』
みなさんこんにちは!今回のスタッフブログは、久保田和貴です。

 暑い日々が続きますね。いつまで続くのか、どこまで気温が上がるのか…。そんなことを毎日朝起きてチェックしながら一日覚悟を決めて頑張っています(笑)。とにかく水分をしっかり摂り、御飯だけはしっかり食べるよう心がけています。みなさんも、熱中症・夏バテには気を付けて、十分な水分・栄養を摂ってください!

 さて、今回のテーマは「指導者(親)の役割」です。本屋さんで、体操の指導という観点から子どもたちに活かせ、尚且つ自分が将来親になったときに活かせるような子どもに関する勉強になる本はないかな…と探していたところ「子どもの心のコーチング(菅原裕子 著)」という本を見つけました。今回はこの本に書いてあった内容をいくつかご紹介し、合わせて僕が感じたことを書いていきたいと思います。

子育て、いろいろな方々を見てすごくみなさん悩みながらされているのだろうな~といつも感じています。何が正しくて何が間違っているのか。なんて言葉をかければ良いのか。今日も怒ってしまった…など、いろいろ悩みは尽きませんよね。

まず、親は子どものやることに対してどういう立ち回り(役割)をすれば良いのか、こちらを簡単にまとめて紹介したいと思います。

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★親は「サポート」役に徹する
・「飢えている人に、魚を釣ってあげるか、釣り方を教えるか?」というたとえ話があります。全面的に相手を助ける「ヘルプ」を選ぶか、自分でできるようになる力をつけるための「サポート」役に徹するのか。

・親がすべき仕事は、まさにこの「サポート」。子どもを「できる」存在としてとらえてそばで見守り、子どもが生活力を身につけるために、必要な時には手を貸すこと。
 
・もちろん、人には本当に「ヘルプ」を必要とするときもある。生まれたばかりの赤ちゃんはまさに「ヘルプ」を必要とする存在。本人の能力をはるかに超えているときや、命や心が危険にさらされているとき、子どもをヘルプするのも親の役割。

★子どものやりたがりを尊重する
・生まれたての赤ちゃんはできないことがたくさんある。おっぱいをあげたり、おむつを替えるなど、親の「ヘルプ」が必要。やがて赤ちゃんは寝がえりをするようになり、おすわり、ハイハイと自分でできることが増えていく。ところが、多くの親はその成長に気づかず、いつまでも子どもを「ヘルプが必要な存在」として、世話を焼き続けてしまいがち。そして、無力な子どもを守ろうとする親の愛は、そのまま子どもを「できない」存在に育ててしまう。
 
・親が子どもの欲求を察して無条件になんでも与えたり、子どもの問題をすべて解決する…こうしたヘルプの中で育った子どもにとって、目の前の問題は自分で解決できない「障害」でしかない。

・子どもは本来やりたがりでやる気に満ちている。親は子どもの成長に従って、「ヘルプ」を「サポート」に変え、子どもが自分で学び、発見する姿勢を尊重することが大切。

・まずは、何が余計なヘルプで何が必要なサポートか、振り返ってみることから始めましょう。
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こう書かれていました。
 この「ヘルプ」と「サポート」を読みながら、なるほど~と思いました。僕は中学から親元を離れ、体操のための生活に身を置いて、体操を通じて厳しい世界に飛び込んでいったので、自分自身の問題や壁など、それなりに乗り越える力は持っていると思っています。そう思える自分になれたことも、親が僕の「体操をもっと上手くなりたい!」という思いや行動に対して手助けをしてくれた、まさに「サポート」をしてくれたおかげだと思っています。
 また、この「ヘルプ」と「サポート」は、僕自身の体操の指導にとっても同じだと思いました。指導で言う「ヘルプ」と「サポート」の役割は…

「ヘルプ」=補助で形を作ること
「サポート」=補助も含めての手助け

だと思います。初めての技に挑戦する、いろんな技に取り組んでいく、このとき子どもはもちろん「ヘルプ」が必要です。指導ではその「ヘルプ」と「サポート」が融合して、子どもたちの成長を助けます。
初めてやる技の形を教えるとき、または出来ていた技が出来なくなったとき、1~10まで補助をして「ヘルプ」を行います。ある程度形が出来てきて、「あと少しで技が出来そう!」というとき、「サポート」を行います。

 実際の教室での様子を例えて説明すると、例えば鉄棒の逆上がりです。
Aちゃんは腕の力が強く、絶対逆上がりが出来る力を持っているのに、キックした後鉄棒にお腹を引っ付けてつばめの姿勢まで起き上がるところが出来ません。
そんなAちゃんに指導者が行う「ヘルプ」と「サポート」は、まずキックでその子の足が自分で上げられるところまでは一人でやらせます。そこからは補助で、“それ以上体が下に落ちてこないよう支えてあげる”。ここが「ヘルプ」の部分です。
そこから補助で支えながら、“お腹を鉄棒に引っ付けるところ、引っ付けてからつばめの姿勢に起き上がるところまでは、時間がかかっても良いから自分の力でやらせる”。これが「サポート」の部分です。

この中で、補助をする「ヘルプ」の部分と、補助で手助けをしながらも自分の力で頑張らせる「サポート」の部分、ここのバランスがとても大切なのです。ここで、鉄棒にお腹を引っ付けるところから、つばめの姿勢に起き上がるところまでをすべて補助をしてしまうと、その子は、キックした後どうやって鉄棒にお腹を引っ付けるか、どうやってつばめの姿勢に持っていくのか、いつまで経っても“自分でやる”感覚を掴むことが出来ません。

出来る部分は一人でやらせる。その先の出来ない部分をいかに手助けしながら、自分の力で出来るようになるための感覚を掴ませるか。ここのバランスが大切なのです。
「ヘルプ」のしすぎはその子の成長につながらない。ヘルプとサポートのバランス、その塩梅が指導者に必要とされる技術だと思います。

体操の指導と同様に、子育ても「ヘルプ」と「サポート」が重要なポイントであり、その“バランス”がすごく大切なのだと、本を読んで感じました。

次にこちらを紹介します。

★行動の結果を子どもに体験させる

この本に書かれていたことは、例えば朝起きて学校に行くときのことです。
朝寝坊して、遅刻をしたら、担任の先生には叱られ、友達には笑われる…これはとても嫌な経験ですよね。子どもが朝遅刻しないように起きれるか心配な親は、必ず朝、子どもを起こしにいきます。それでもし親が起こし忘れ、子どもが学校に遅刻したらどうなるでしょうか?子どもは遅刻した原因を必ず親の責任にします。自分に責任を置かないのです。要するに、いつも親が朝起こしていると、子どもは遅刻をしても自分の行動に責任を持たなくなります。子どもが一人で起きれるようになることを望むのであれば、親は勇気を持って、遅刻しようがどうなろうが、“朝一人で起きてくるまで待つ”ということをしければならないのです。
それでもし子どもが寝坊をしたとしても、「寝坊をし、遅刻をした」という嫌な経験を“子ども自身で”することが大切なのだと書かれていました。そうすることで、子どもは自分を振り返り、自分の行動に責任を持つようになり、次に同じ過ちを犯さないよう自分で対策を考えるようになり、行動をします。これが子どもの成長や自立につながることだと書いてありました。いつまでも子どもを「ヘルプ」していると、このように、子どもにとって大切な学びの機会を奪うことになってしまいます。親が助けてあげたい気持ちをグッとこらえて、子ども自身の行動からなる結果を体験させることが、必要だと書かれていました。
 
僕は「子どもたちがあと少しで技が出来そう」というときは、ヘルプもサポートもなしで補助を抜いて一人でやらせるときもあります。また、「明らかにまだ一人では難しそうだな」と感じるときでもわざと一人でやらすことがあります。その目的は、結果から、何が自分に足りないのか考えてもらいたいからです。
明らかに出来なさそうなことを一人でやらせると、当然失敗します。でもそこに意味はあると僕は考えています。そして、失敗したあと必ず「今ので、あともっとどうすれば出来るようになれそう?」と子どもに質問します。すると、子どもたちは「もっと腕の力が必要!」とか、「もっとスピードが必要!」とか、自分の“失敗”から感じた“経験”を自分なりに分析し、答えてくれます。まさにこれが次の上達へのステップだと思います。

大切なのは自分の現時点での現状は何なのか、もっとどうしなくてはいけないのか、を自分で向き合い、考え、行動する事だと思います。そこに次の成長や目指すべき道が見えてくると思います。僕は体操を通じてこれを学びました。なので指導でも、一人でやらせ、考えさせる場面を作る。これによって子どもたちは、自分に足りないものを明確にし、どこを頑張るのかはっきり頭に残し、より上手になるため頑張れる、という経験を“自分自身の行動”から積めると考えています。


以上紹介した2つの項目が、「体操の指導と、子育てに通じる・活かせる」ことの内容でした。僕自身、本を読んで自分の指導と照らし合わせてみて、「もっと自信をもって自分の考えを指導で出していってもいいのではないか」とか「指導と同じで子育てもバランスが重要やな~」とか、改めて考えさせられました。

 この「子どもの心のコーチング」という本には、ほかにも「自分に肯定感を与える」や「ダメと言うほどダメになる」など、子どもとの関わりに大切な、子どもとの接し方、伝え方などたくさん勉強になることが書いてありました。今後もたくさん勉強したいと思います。

久保田和貴