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スタッフブログ

2018.07.28
『親と子のアドラー心理学 ~勇気づけて共に育つ~ 』
こんにちは。佐藤亘です。今年度4月からお世話になっています。普段、お顔を合わせられる機会が無い方もいますが、皆様に温かく迎え入れていただき、お陰様をもちまして、たくさんの子どもたちと楽しく体操に向き合えています。たくさんの『できた!』の瞬間を共有できるように、たくさんの知識と経験を積んでいきたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。

さて、今回、私は『親と子のアドラー心理学 ~勇気づけて共に育つ~』という本を読みました。以前の職場では6年間、体操教室の先生をさせていただき、たくさんの子どもたちと触れ合い、とても多くのパワーをもらっていました。改めて、「子どもとどのように接していくべきなのか」、「教室に通ってくれている子どもたちとのコミュニケーションにも、活かせることがあるのではないだろうか」と考え、この本を選びました。
アドラー心理学では、子育ての4つのキーワードとして、『尊敬』・『共感』・『信頼』・『勇気』という親の態度を示しています。このキーワードを頭に入れておくと、子育てにしっかりとした指針が得られるとのことでした。

『尊敬』
下のポジションにある人間が、上の立場の人を仰ぎ見るというニュアンスがあります。しかし、この本では「人それぞれに年齢・性別・職業・役割・趣味などの違いがあるが、人間の尊厳に関しては違いがないことを受け入れ、礼節をもって接する態度」と、しています。子どもは、無限に近い候補の中から、待ち望んだ命を持った存在として両親を選んで生まれてきてくれます。その命に対して尊敬を抜きにして考えることはできません。

『共感』
子どもに共感しようと思ったら、「子どもの目で見、子どもの耳で聞き、子どもの心で感じること」が必要になります。子どもは自分の好奇心を満たすために様々な探索行動をします。これが、親にとっては迷惑な行動に映ってしまうことが多々ありますが、子どもは自分が関心を持ったものが何と結びついているかを学ぶことで、予測能力を訓練しています。そして、探索行動を十分に堪能できれば、その行動は終わり、次の好奇心へと対象を移します。簡潔に言うと「子どもの関心(好奇心)に、関心(好奇心)を持つこと」が大事になります。子育てをするとき、子どもの関心に関心を持たず、自分に関心を持つと、子どものやることなすことが迷惑な行動に見えてしまいます。

『信頼』
信頼は根拠を求めて信じるかどうかを決める信用とは違い、根拠を求めることなく無条件に信じることです。無条件に信じるためには決意も必要です。さらに、相手の行動によっては信頼が揺らぎそうになることもありますが、それを乗り越える忍耐も必要になります。例えば、受験やテストの間近に、「勉強をする」と言って子どもが部屋に籠ります。静かなうちは勉強をしていると信じているのに、息抜きのために音楽を聴き始めたり、友だちと電話をしている声が聞こえてきた途端に「勉強しないで遊んでばっかり」と、口を出してしまえば、信頼関係は崩壊しかねません。アドラー心理学では、尊敬と信頼は、相互尊敬・相互信頼として語られることが多くあります。親から子どもに対して尊敬や信頼の態度を示していると、子どもの側からも尊敬・信頼が示され、お互いの関係が尊敬・信頼によって結び付く。と、されています。もちろん、親子それぞれの発揮のタイミングやバランスの違いはあります。

『勇気』
勇気とは『困難を克服する活力』です。いざという場面で発揮できる活力であり、直面するリスクを引き受ける気迫でもあるのが勇気です。例えば、子ども同士での遊びで、オモチャを横取りされた時に、「返して」と言う。これも勇気です。尊敬・共感・信頼の態度に基づいて、この活力を子どもに与える親の対応を『勇気づけ』と言います。勇気づけのポイントは
① 賞や罰(アメとムチ)で、子どもを操作しようとしない ② 子どもが自ら直面する課題の克服を支援すること ③ みんなの役に立てるよう勇気づける 逆に『勇気くじき』と言う言葉もあり、いわゆる甘やかしです。過保護のことだけでなく、賞罰、過干渉など、子どもの自立心と責任感を損なう親の対応のことを言います。

子どもを一人の人間として対等に捉えて『尊敬』を抱き、子どもの好奇心に『共感』し、 考えや行動を『信頼』して見守る。そういった大人の態度が、子どもを『勇気』づけ、自立心、責任感、貢献感を育むそうです。 子どもたちの行動には、一つ一つに意味があり、子ども自身の成長に大きく影響を与えています。その行動を、大人の視点や都合で捉え、干渉していくことは、子どもが成長に必要な体験や、機会を逃すことになります。大人の言うことを聞かない、ケンかをする、というのも、大半は大人の注目を得るためのようです。望んでいないことを始めてもとやかく言わずに見守り、子ども自身が取った行動の結末がどうなるのかを経験させることも大切だそうです。
教室中なら、先生の話中によそ見をしている、歩き回ってしまう子への対応を考え直し ました。よそ見するほど興味を引いていることは何なのか?ダメダメって言って追いかけてもらうことを目的にしているなら「待ってるからね」と言って、あえて追いかけない。など、考え方を変えられる場面はたくさんあるように感じました。
コーチ陣で準備したプログラム通りに授業をするために子どもたちに声を掛けるのではなく、子どもたちの興味、視点、聞こえていることに寄り添ってプログラムを展開させていけるような配慮と余裕を持てるようになっていきたいと思います。
また、私自身もこの本から学んだことを参考に、信頼し合える親子関係を築き、いつまでも動けるかっこいいパパを目指したいと思います。
佐藤 亘