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スタッフブログ

2023.06.06
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』
久々に書店に入り、すぐにこの本が目に止まりました。
成功とは何か、何のために生まれてきたのか、なぜ成功しなければいけないのか。アチーブメント研修での言葉を最近よく自分に問いかけます。仕事では、前より多くの人と関わるようになり、頑張っている人をさらに見る機会が増えました。

グラント氏の著書『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』はビジネスマンや経営者の間でとても話題となった一冊であり「ギバー(与える人)」「テイカー(受けとる人)」「マッチャー(バランスを取る人)」とは、人間の思考と行動を3タイプに分類した言葉です。この言葉は、アメリカウォートン・スクールの組織心理学を専門に研究する教授、アダム・グラント氏によって提唱されました。
「ギバー(人に惜しみなく与える人)」は、他者を中心に捉え、相手が何を求めているかを注意深く考えるタイプの人を指します。与えることに対し、見返りを期待することもなく、手を差し伸べる、奉仕する人です。
「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」は常に多くを受け取ろうと行動するタイプの人で、自分がより有益になるように持っていき、相手が望んでいることよりも自分の利益を優先していくタイプです。テイカーの人は、世の中を”競争社会”として見なしていることが多く、競争社会の中で、自分が他人よりも上にいたいという欲が強く、自分が上にいること=”豊かさ”と考えている人が多くいます。
「マッチャー(損得のバランスを考える人)」はギバーとテイカーの中間の人を表し、常に公平という観念に基づいて行動します。与えられなければ与えないし、何かをしてもらったら恩を返すというタイプです。自らの行動から損益が出ないようにと自己防衛していきます。

ギバーは2つのタイプに分けられます。
自己犠牲型:他者利益には興味や関心があるが自分の利益には無頓着。人に与える一方で自分の利益を損なってしまうタイプ。
他者志向型:他者利益と自己利益の双方に興味関心があり。受け取るより多く与えるが、自分にもしっかり他者から還元されていく。自己利益を損なわないタイプ。

自己犠牲型のギバーは、自らをないがしろにしてまで相手がテイカーであろうと付き合い続け自滅してしまいます。どんどん自分の身を削ることになるので、なかなか保ちません。一方で他者志向型のギバーは、自分の利益のみを追求するテイカーとは距離を置くように上手く行動します。そうなると必然的に、ギバーと付き合う相手はマッチャーになり、双方に利益がもたらされ持続可能な人間関係が構築されていくようになるのです。

研究によると、最も成功すると言われているのはギバーです。1位ギバー、2位マッチャー、3位テイカー、4位もギバーになります。最も底辺で生活苦にあえいでいるのは、大抵がギバータイプの人々で、理由は自分よりも他人を優先して自らを後回しにするからだそうです。また、最も成功を収めるのもギバーで、ギバーはまわりから評判が良いため、他人に奉仕したことが結局自分の成功として返ってくることが多いそうです。人に与えることの豊かさを知っているギバーに信用が集まり、結局豊かに発展していくのが社会の仕組みと言えるのかもしれません。

今まで多くの自己開発やメンタル本を読みましたが、ほとんどの本が、頑張ることの大切さ、何をすべきか、何を止めるべきかといった事が書かれていました。この本は頑張ってしまうと、テイカーになってしまったり、ギバーであっても自己犠牲的になってしまうから“頑張るな”と書かれています。人間関係をはじめとする他者との相互作用を見る際の前提を変えれば、無理やり努力しなくても自然とギバーになる可能性が開けていくというのです。確かに“頑張り”が自分に向くことで、相手を非難したり、自分さえ我慢すればいいという間違った思考に走ったりします。“頑張り”が間違ってしまう場面は多いにあると感じました。そういう意味で“頑張らない”ことはとても大切なことだと感じました。

成功するギバーは、自己犠牲ではなく他者志向性を持っています。例えばチームで仕事をするときに、自分の取り分を心配するのではなく、みんなの仕事がうまくいくように自分も行動する。みんなで高い成果を出すことを目的に設定する。このとき、自然と人間は他者志向性を持ちます。その仕事をせずにはいられないという意義を見いだしていることが、ギバーであることの重要な条件だということです。自分にとって意義があること、楽しめることを単純に追求している。こういう状態まで来れば、ギバーは他人に与えるだけではなく、自分自身にも与えていることになります。しかも、その意義を感じるときに他人と自分が一体化し、他者に対する共感が生まれる。全然、自分を犠牲にしていないとこが重要です。

「仕事はいったい何のためにするのか」という、自分にとっての本質的な問題を突き詰めた先にギバーがあるといいます。どんな仕事でも、必ず自分以外の誰かのためになるから仕事として成立しています。「この人は頼りになるな」「役に立つな」「ありがたいな」と思われて初めて仕事になるので、他者のことを考えて行動することが仕事の定義になります。そう考えるとテイカーはそもそも仕事に向いていないかもしれません。周囲からは「得をする人」「上手くやる人」と思われがちですが、テイカーの頭の中は、自分の損得やどう評価されるかでいつもいっぱいなので趣味的に終わってしまいます。

テイカーは成功を、人を出し抜いて優れた成果を達成することだと考えているのに対し、マッチャーは成功を、個人の業績と他人の業績を公正に釣り合わせることだと考えています。ギバーは成功を、他人にプラスの影響をもたらす個人的なことだと考えます。

ギバーが燃え尽きるのは、与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を、前向きに認められないことが原因です。ギバーは、与えることに時間やエネルギーを注ぎ込みすぎるせいで燃え尽きるのではなく、困っている人をうまく助けてやれない時に燃え尽きるとあります。自分の幸せを顧みず与え続ければ、精神的、肉体的健康を害すリスクが高まることが発見されています。しかし、他人のことだけでなく自分自身のことも思いながら、他者志向的に与えれば、心身の健康を犠牲にすることはなくなります。

本を読んで、人は成長の中でテイカーからマッチャー、ギバーになっていける、いわば人間成熟的な過程を追えるのかなと思いました。また、人は仕事や家庭、役割によっても、場面場面でテイカーにもなり、マッチャーにもなり、ギバーにもなれると思いました。
自分の心地よい環境の中で働いている間は感じなかった、新しい環境や色々な組織やチームの関わり、自分の役割についてもう一度考えます。この本を読んで、他者志向型のギバーを目指し、自分はギバーなのだと決めつけ、『思いやりを持ちます』というサインをして日々行動したいと思いました。

                                  米田真美