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スタッフブログ

2021.07.22
『心を強くする』
こんにちは。小川泰弘です。7月になり猛暑が続いていますね、気温も高くなってきましたのでこまめな水分補給を忘れないようにしましょう。またコロナ禍で大変な日々もまだまだ続いています、感染予防としてマスク、手洗いうがい、消毒を徹底しましょう。

話は変わりますが、東京オリンピックが始まりましたね。体操競技は男子団体の4名全員が初めてのオリンピック出場という新しい顔ぶれに決まりました。実は私もかなり前にはなりますが、シドニーオリンピックとアテネオリンピックの代表を目指し、最終選考会のNHK杯に出場したことがあります。計り知れないプレッシャーと緊張で思い通りの演技ができなかったことを久しぶりに思い出しました。今回の最終選考会を見てあらためて日本代表に選出された選手の凄さ(技術はもちろんですが、気持ちの強さ)を感じました。是非本番でも自分の力を十分に発揮してもらいたいと思います。

さて今回私はサーシャ・バイン著「心を強くする」という本を読ませていただきました。サーシャコーチといえば、プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手のコーチとして2018年全米オープン、2019年全豪オープン制覇を成し遂げた時のコーチとして有名です。この本はサーシャコーチが大坂選手とともに過ごした約1年間の出来事や会話などをまとめた内容になっています。まだランキング上位ではなかった大坂選手がグランドスラム制覇という偉業を達成するまでにどのような指導、関わりがあったのかとても興味がありこの本を選びました。以下に本の中で印象に残った言葉を抜粋し、文章をまとめていきたいと思います。
「疑問を持ち、質問できる人ほど強い」
○無知はメンタルの成長を阻む。すること、見るもの、すべての意味を問いただそう。自分のしていることのみならず、自分を取り巻く世界、取り巻く人々についても好奇の眼差しを向けよう。好奇心とはあなたのメンタルが急速な成長を遂げようとしている何よりの証である。それは学びたいという情熱の代名詞でもあるのだから。周囲の人間に物をたずねるには勇気がいる。自分の無知を明かすことでもあるのだから。だがそれは同時に自分が柔軟な心の持ち主で学ぶ意欲を持っていることも明かすことになる。それは周囲の敬意をかちえて、みな温かい協力の手を差し伸べてくれるにちがいない。質問をして初めて自分の取り組みの価値や意味を深く知ることができる。質問がきっかけで何かを覚えればそれは深く長く心に刻みつけられる。

■分からないことは積極的に聞く、質問をすることは自分自身を成長させる。人は周りの人たちの支えがあってこそ成長できると捉えることが必要と感じました。
質問をすることによって自分の取り組みや行動を深く知ることができるとありますが、疑問を持ち聞く勇気を持つことで知識は広がり、自分をさらに理解するきっかけになるのではないでしょうか。
どんな状況でも色々なことに好奇心を持ち、自分への探究心を持ち続けていきたいと思います。


「自信は移ろいやすい。だから一瞬で最高レベルにも上げられる」
○どの世界にあっても自信満々の人が必ずしも最高の実力者とは限らない。たいした実力の持ち主でなくとも確固たる自信を抱くことができる。その秘密は他人の思惑など一切気にかけずひたすら自分のしたいこと、得意なことに全力を注ぐという点にある。自分に暗示をかけるのも効き目がある。俺には自信がある、私には怖いものなどないとくり返し自分に言っていると脳もその通り信じ始める。するとこれという根拠がなくとも脳は自信を抱き始める。たとえ実力はまだまだだとしても先に大きな自信を抱いてしまえばいい。自分はできると何度もくり返せば脳もそれを信じるようになる。自信を持つだけでなく努力も忘れずに。その二つは互いに欠かせない両輪だ。

■自分はできる!と言い聞かせることで脳もできる自分をイメージできるようになる。アスリートや指導者にとってとても大事な言葉だと思いました。自信がない時は必ず練習、演技に反映されます。特に体操のような採点競技ではその時の表情なども演技に少なからず影響を与えてしまいます。逆に自信を持っているときは表情、演技全体から力強さが伝わってきます。言葉と行動を常に意識しておく必要があると思いました。


「傷つきやすいことの意外なメリット」
○現代社会では自分の弱さを認めると徹底的に叩かれてしまう。だからだれもが自分の弱さや知識不足を隠そうとする。自分の欠点や重大問題への対応力のなさを公然と認めたりするのは愚の骨頂だと多くの人が思っている。自分の弱さを認めたらとたんにライバルにつけこまれると大半のプレイヤーが考えている。だからこそなおみと付き合ってわかったことがいっそうの輝きを放つ。なおみは自分の弱点を公然と認めることを恥とも何とも思っていないのだ。自分の弱点を認めたからといってそれは人間としての価値をそこなうものではない。自分の弱点を認めることで人はいっそう強く大きくなれる。なぜならそれは自分の人生をより良いものにする最初のステップだからだ。自分の弱みを正直に認めてこそ未来は開ける。

■できないこと、分からないことを認める。自分自身の弱点から目を背けないことが必要だと感じました。やはりできないことや無知なことは心のどこかで蓋をしてしまっているような感覚があります。自分の弱点を認めることで周りの色々なサポートを受けることができ、結果的に自分自身の成長にもつながることだと思いました。無理に自分を強く見せるのではなく、まずは認めることから始めなければいけません。
長所は短所、長所と短所は紙一重などと表現することがありますが、自分の弱みを認めることは未来を創るために大切なことだと思います。


「一度夢に描いたら私は絶対に負けない。想像力を使ってあらゆる場面を解決済みにしておく」
○想像力はとてつもない力を秘めている。将来の成功を思い描いてその時どんなに楽しい暮らしが待っているのか頭の中に詳細にイメージできれば実現に近づくだろう。想像の翼を自在に広げるといまは手の届かないものもリアルに感じられ実現しよういう意欲も強まるはずだ。将来の成功をリアルに想像に描くと現実感が増して目標達成に役立つ。不安を消してメンタルを落ち着かせる効果も。過去の成功を思い出せば当時のメンタルも再現できる。

■常に目標達成したときをイメージしておくことで目標がより近くに感じられるようになる。
私も選手時代はイメージトレーニングとして成功した演技を何度も何度も頭の中で繰り返しイメージしていました。そうすることによって練習ではなかなか拭えない不安を解消し試合に挑むことができました。現在指導の立場としては日々の練習で選手に感覚、技術をできるだけ分かりやすく伝えらえれるように心がけています。選手たちには日々の練習の中で成功したイメージを持つと同時に、目標達成を常にイメージできるような言葉がけを意識していきたいと思います。私自身も選手の目標をイメージすることで頭の中が整理され、今何をすべきか明確になると感じました。


「そこまでするか?と思われてもいい」
○何か重要なことをなしとげるにはそれ相応の犠牲を払うことが不可欠だ。その見返りがすぐ得られることはまずないが自分を信じて目標に向かって進めば最後には必ず努力が報われる。いつも犠牲を払ってこそ人生における長期的成功が視野に入る。この人のためなら、この仕事のためなら。と思えればつらくはない。人生を左右する場面では無理も必要。相手はちゃんとあなたの心の強さを見ている。

■目標を達成するためにはそれ以上の努力が必ず必要。私も常に意識をしている言葉です。楽をすれば楽な結果しか生まれない、しっかり相手と向き合い最大限の努力を続けることができれば必ず結果はついてくると信じています。目標が大きければ大きいほど献身的な行動が必要だと感じました。


 今回、この本を読ませていただき、指導者としての関わり方、言葉がけ、考え方などサーシャコーチから学ぶことがたくさんありました。サーシャコーチは「自分という人間はだれかの役に立っているときがいちばん幸せなのだ」と言っています。自分のためではなく関わっている人の幸せを常に考えられるからこそ、このような結果につながっているのだとあらためて感じました。私も指導者として本質的な心の強さを持ち、携わっている全ての人に感謝の気持ちを忘れず目標に向かって進んでいきたいと思います。