みなさんこんにちは。
体操の世界選手権で中国の南寧というところに来ています。いよいよ明日、日本体操界にとって悲願の団体優勝に向けた戦いが始まります。
僕は解説者として、「?」と解りづらいところ、「…」と難しいところ、「なるほど~」と楽しめるところ、テレビの前の人がどんなことを思いながら見ているのかを想像しながら解説をしたいと思っています。
また、年に一度の日本から離れホテルと体育館の往復のみで一点集中のこの期間は僕にとって自分と向き合える時間でもあります。一年を整理し、自分の頭の中を整理するために過ごそうと意気込んでいます。そこで、今回選んだ本は「マンガでやさしくわかるアドラー心理学(著者:岩井俊憲)」です。
心理学ってすごいですね。
僕はスポーツでも、仕事でも、プライベートでも自分のことを理解することが大切だと思っています。
自分のことを知る。
自分のことをどれだけ理解しているか。
心理学は「心」の説明書みたいだと感じます。自分の仲間、同僚、先輩、選手、子どもたち、家庭、これらの中で日々何かを選択することの連続があります。そんな日々の選択で悩むことが多々あるのですが、何を悩んでいるかというと「自分が本当に思っていることは何?」「本当は何を求めている?」です。
この本には、店長からエリアマネージャーに昇格した女性が主人公で、その主人公がエリアマネージャーとして店長たちに指示を出していきます。その中での葛藤をアドラー心理学を理解することで解決されていく様子が描かれています。
自分の整理を兼ねて、以下の2つをここでご紹介したいと思います。
<シーン1>
エリアマネージャーになった主人公は、自分のエリアの店長たちに厳しく指導していました。そんな主人公に我慢ができず、数人の店長たちは本社に不満をぶつけに集まってきた際のことです。
主人公は以下の言葉を発します。
「そもそも私はダメスーパーバイザーなのよ」
「店長のみんなが私に対して反旗を翻すのは当たり前…」
「きっといつかこんな日が来るんじゃないかって思ってた…」
「私みたいな人間に そりゃ言われたくないよね…」
「だから会社を辞めようと考えているの」
これに対して、“人は皆、ピンチに陥った時、このような誤りに支配されがちになります”と書かれてありました。
その誤りとは、上に書いた主人公の言葉を指しているのですが、
“決めつけ”-----「そもそも私はダメスーパーバイザーなのよ」
→ひとつのミスで自分の価値観を決めつけてしまう。
“誇張”-----「店長のみんなが私に対して反旗を翻すのは当たり前…」
→全員ではなく、数人の店長がクレームを言ってきただけなのにまるで全員が文句を言ってきたと現実を誇張して受け取っている。
“見落とし”
→全員が反対しているのではなく、慕ってくれている店長もいるはずだ。そのことに心が及ばない。
“過度の一般化”-----「私みたいな人間に そりゃ言われたくないよね…」
→仕事を失敗しただけなのに人格までも否定している、全てダメと一般化してしまっている。
“誤った価値観”-----価値のない自分が会社にいたら迷惑がかかる、自分はもう必要ない、生きていても仕方がない
→人は追い詰められると冷静な判断ができなくなる。実際にたった一度のミスで会社を辞めようとまで考えてしまっている。
これらを本の中で「ベイシック・ミステイクス」と説明がありました。
<シーン2>
主人公は、ベテランの店長にある指示をしましたが、あっさり断られ口論となり対立しました。そのことでイライラし、仕事のできる同僚に愚痴を言った際、同僚から言われた言葉です。
「それで本当は彼女に何を伝えたかったの?」
「知ってる?怒りって二次感情なんだよ」
怒りが二次感情だっていうのは、子どもに対してカッとなって起こる場合、実は“心配”だから怒っている。また、部下に対して怒るときは“期待・落胆”などの感情があります。
一次感情は“心配・悲しみ・寂しさ・不安・落胆”などがあります。
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“怒り”という感情は非常にパワーがありますよね。スポーツ選手が基本負けず嫌いなのが良く解ります。もちろん僕も負けず嫌いです。自分が未熟な時は“怒り”というパワーに振りまわされます。そんな“怒り”を僕は体操というスポーツを通じて若干ですが、コントロールし、扱えるようになりました。
また、1で紹介したベイシック・ミステイクスですが“決めつけ・誇張・見落とし・過度の一般化・誤った価値観”は、よくよく陥ってると思います。
僕がこの本で学んだことは、怒りの感情があるときには「一次感情は何なのか」に焦点をあてて理解すること。そして、困難に直面しているとき、「決めつけ・誇張・見落とし・過度の一般化・誤った価値観」はないか?と問いかけること。これらを実践したいと思います。
スポーツを通じて、また子どもたちの教育にも関わらせてもらい、今は現役の体操選手とも関わらせてもらっていますが、「体操のスキルを教えたい、スキルが大事」と思ったことは一度もありません。僕自身が体操を通じて学んだこと、そして今学んでいることを選手や、子どもたちにも伝えていきたいと思っています。また、伝えていくためには…を考えていきたいと思っています。
今回選んだ「アドラー心理学」ですが、
心理学者:アルフレッド・アドラー
「人を動かす」「道は開ける」などを著したデール・カーネギーや「7つの習慣」のスティーブン・R・コービーらに影響を与えた心理学者。
精神分析学者のジームクント・フロイト、精神科医・心理学者のカール・グスタフ・ユングと共に「心理学の3大巨頭」と呼ばれている。
また、「健常者のための心理学」と呼ばれていて、研究対象として「子育て」「学校教育」に関心を向けられてきたそうです。
ご興味があれば、本屋さんで手に取ってみてください。
最後になりますが11月3日(月・祝)、体操クラブに通ってくれている子どもたち、保護者の方を対象に「交流会」というのをやってみようと思っています。いつかやりたいなと思っていたことなので、未知ですが楽しみにしています。指導者と子どもたち、保護者の方々との交流の場所となり、米田功体操クラブが更に良くなるために。年を重ねるごとに発展していけるようなクラブを目指して、考え、挑戦していきたいと思っています。
米田功