『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』
こんにちは。スイミングの荒井です。
今回読んだ本は、玉樹真一郎氏の『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』です。
「挑戦する」のテーマの時に「今挑戦していることは?」と子どもに問いかけると、「マインクラフトで~」や「スプラで~」といったゲームの内容が出てくることがよくあります。
私自身もゲームは大好きですし、今でも様々なゲームをやっています。最近はEスポーツという言葉も耳にするようになりました。そんな大人でも熱中してしまうゲームの秘密が日々の教室に生かせないかなと、この本を手に取りました。
実際に読んでみると、人が行動する理由や継続する理由について深く考えさせられる内容であり、指導にも非常に参考になる一冊でした。
本書では、人は「正しいから行動する」のではなく、「やりたくなるから行動する」と述べられています。私たちは指導者として、「こうした方が上手くなる」「これが正しい練習方法だ」と当たろ前のように考えていることはあると思います。
しかし、どれだけ正しい内容であっても、本人がやりたいと思わなければ継続することは難しいということを改めて感じました。
特に印象に残った、人を動かす3つの要素について紹介したいと思います。
①「直感」
人は理屈よりも先に感情で動くため、「楽しそう」「面白そう」と感じることが重要だと説明されています。スイミングスクールでも同じことが言えると思います。例えば、「この練習をやると速くなるよ」と伝えるだけよりも、
「今日はどれだけ記録を更新できるかチャレンジしよう」と声をかけた方が、子どもたちは積極的に取り組みます。上達のために必要な練習であっても、まずはやってみたいと思わせる工夫が必要だと感じました。
②「驚き」
人は予想外の出来事に興味を持ち、記憶にも残りやすくなります。
毎回同じ流れで練習を行うことも大切ですが、ときにはゲーム形式を取り入れたり、普段とは違うチャレンジを用意したりすることで、子どもたちの集中力や意欲を引き出せるのではないかと思いました。私自身もレッスンを行う際、「今日は何をやるんだろう」と楽しみにしてもらえるような工夫を意識したいと感じました。
③「物語」
本書では、人は情報よりもストーリーを覚えると説明されています。
例えば、「努力は大切だよ」と伝えるよりも、「この選手も最初は25メートル泳げなかったけれど、毎日少しずつ頑張ってここまで成長した」という話の方が、子どもたちの心に残ります。実際に指導現場でも、成功体験や先輩たちのエピソードを伝えることで、子どもたちのモチベーションが高まる場面は多いと感じています。
この3点を自分自身の指導に当てはめて考えた時、どうしても「肘を高くして」や「顔をあげない」、「手を大きく」といった技術指導の面が先行してしまっている面もあると感じました。
子どもたちは理屈で理解する前に感情で動くからこそ、小さくても
「できた!」
「楽しい!」
「もう一回やりたい!」
という感情を引き出すための練習を考えていく必要性があると再認識させられました。
また、本書の中で「人は意志が弱いのではなく、続けたくなる仕組みがないだけ」という考え方が書かれていました。
指導をしていると、「もっと頑張ってほしい」「続けてほしい」と思うことがあります。しかし、それを本人のやる気や根性の問題として考えるのではなく、続けやすい環境や仕組みを作れているかを考えることが大切なのだと感じました。
スイミングスクールに通う子どもたちは、「泳ぎが上手くなりたい」という気持ちだけで来ているわけではありません。友達と会うことが楽しみな子、コーチに褒められることが嬉しい子、進級テストに合格する達成感を味わいたい子など、それぞれ異なる目的や楽しみを持っています。
だからこそ、単に泳ぎを教えるだけではなく、「今日も楽しかった」「また来週も来たい」と思える体験を提供することが重要だと感じました。
この本を読んで、コーチとして子どもたちに何を教えるかだけではなく、どのような体験を提供するかが大切であることを学びました。
今後の指導では、正しい練習方法を伝えるだけではなく、子どもたちが自然と挑戦したくなるような環境づくりを意識していきたいと思います。そして、子どもたちが自ら考え、自ら行動し、成長を楽しめるような指導を目指していきたいと思います。
「教えること」だけに目を向けるのではなく、「ついやってしまう体験」をどれだけ作れるかという視点を持ちながら、子どもたち一人ひとりが前向きに挑戦できる環境づくりに取り組んでいきたいと思います。