HOME > スタッフブログ > 『超一流になるのは才能か努力か?』

スタッフブログ

2026.11.03
『超一流になるのは才能か努力か?』
こんにちは!
スイミングの荒井です。

9月も終わりを迎え、少しずつ秋の気配を感じる季節となりました。
まだ暑さの残る日もありますが、朝晩は過ごしやすい日も増えてきましたね。

季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもありますので、体調管理に気をつけながら元気に過ごしていきましょう!


さて、今回私が読んだ本は『超一流になるのは才能か努力か?』です。

まず、この本を発見したときに私自身も「どっちなんだ……でも、『超』でしょ……。才能が前提か……?いや、でも努力しないと無理だよね?」と、脳内ディベートを行ってしまいました。

この本の著者は30年以上にわたって、さまざまな分野・角度から研究を続けてきた方で、読了後にはかなり納得できる結論に至ることができました。
今回は、その内容をかいつまんで紹介します。

まず、みなさんは「絶対音感」をご存じでしょうか。

ある音を聞いたときに、それがどの音階の音なのかがわかるといった特殊な技能です。
私はこれは「才能」だと思っていました。

ところが、音楽教室に通う2〜6歳の子ども24人を対象に、ピアノの音を聞き分けられるようにするトレーニングを日本の心理学者が行った結果、参加した子ども全員が絶対音感を身につけたそうです。

つまり、人間には適切な訓練によって、このような特殊な技能を身につけられる可能性があるということです。

この「新しい力を身につけられる能力」こそが、本書で語られている「才能」の考え方の一つなのだと感じました。

では、どこに差が出てくるのかというと「努力」の部分です。

もちろん、ただ努力するだけでは能力は向上しません。
正しい訓練を十分な期間にわたって行うことで、人は能力を伸ばしていくことができるというのが本書の大きなテーマです。

では、「正しい訓練」とは何なのか。
本書で取り上げられている考え方を、10のポイントに整理して紹介します。

① 今の自分より少し高いレベルに挑戦する
できることだけを繰り返すのではなく、少し難しい課題に挑み続けることが成長につながる。

② 現状維持で満足しない
「これくらいできれば十分」と練習を止めてしまえば、成長が止まるだけでなく、身につけた能力も少しずつ衰えていく。

③ 一人で集中して取り組む時間をつくる
周囲と一緒に取り組むだけでなく、自分自身の課題に集中して向き合う時間も大切にする。

④ 苦手なことから逃げず、繰り返し取り組む
自分の弱点を見つけ、その部分を改善するための練習を重点的に繰り返す。

⑤ 成長のための練習は、楽なことばかりではない
本気で能力を伸ばそうとすれば、難しさや苦しさを感じる練習にも向き合う必要がある。

⑥ 集中できる時間を大切にする
ただ長時間続けるのではなく、集中力が保てる時間の中で質の高い練習を行う。

⑦ 伸び悩んだら、やり方を少し変えてみる
同じ方法で成果が出なくなったときは、課題や練習方法に変化を加えて新しい刺激をつくる。

⑧ すぐに振り返り、改善につなげる
自分の行動に対するフィードバックを早く受けることで、間違いや改善点に気づき、次の練習に生かすことができる。

⑨ 頑張る時間と休む時間を分ける
集中して取り組む時間だけでなく、しっかり休む時間も確保し、メリハリのある生活をつくる。

⑩ 才能だけで可能性を決めつけない
能力は生まれ持ったものだけで決まるのではなく、どのように学び、どれだけ積み重ねてきたかによって大きく伸ばすことができる。

このような考え方に沿った訓練が、本書で紹介されている「限界的練習」です。

このルールをまとめている際に、つい最近、教室中にあったことを思い出しました。
クロールの指導の際、どうしても入水した手が内側に入りやすく、前に十分に伸びきれていない子がいました。
ここで「もっと伸びて」と伝えるだけでは、本人は十分に伸びているつもりかもしれませんし、こちらから見えている動きと本人の認識がズレているのかもしれません。
そこで実際に泳いでいる姿を動画で撮影し、一緒に確認しました。
さらに、「腕を伸ばす」という意識ではなく「肩から前に伸びる」という意識を持ってもらい、再び泳いだところ、ほんの数回の練習で動きに改善が見られました。
同じ「もっと伸びる」というフィードバックでも、言葉だけではなく動画を使って本人の認識と実際の動きのズレを確認することで、短時間でも変化につながりました。

この場面は、まさに本書で紹介されている「限界的練習」の考え方に沿ったものだったのではないかと思います。

今回この本を読んで、才能か努力かという二択ではなく、コーチという立場として、

「その子が持っている能力に対して、どのような努力をさせるか」

という視点が重要になってくると改めて感じました。
ただ練習量を増やすだけではなく、課題に取り組み、フィードバックを受け、修正し、また練習する。
この繰り返しによって、最終的には自分自身で課題を見つけたり、修正したりできるようになっていくのだと思います。

一人ひとり、スタート地点では能力に差があったとしても、その後の訓練によってその差を大きく縮められる可能性があるのではないかと、本書を読んで改めて感じました。

私自身、何か新しいことを始めてみたいと思ったときに基準としたい考え方が書かれている一冊でした。
そして、どれだけ頑張っても上達しないと感じたときに、「努力の量」だけではなく「努力の方法」を見直すために、もう一度戻ってきたい一冊になりました。